
フェリチンとは?体内の鉄バランスに関わる「貯蔵鉄」の基礎知識
1. フェリチンとは何か
フェリチンは、体内で鉄を安全に貯蔵・調節する役割をもつたんぱく質の一種です。
主に肝臓や脾臓、骨髄などに存在し、必要に応じて体内で鉄を放出できる「ストック庫」のような働きをしています。
このフェリチンが保持する鉄は「貯蔵鉄」と呼ばれ、血液検査などではフェリチン値として確認されます。
2. フェリチン値の目安と役割

血液中のフェリチン濃度(ng/mL)は、体にどれだけ鉄が蓄えられているかを示す目安とされます。
性別 | 一般的な参考値(ng/mL) |
---|---|
女性 | 6.4~167.1 |
男性 | 17.0~291.5 |
※参考値は検査機関や医師の見解によって異なる場合があります。
フェリチン値が低いと、体内の鉄の備蓄が不足している可能性があるとされ、高すぎる場合には鉄の過剰蓄積の可能性が指摘されることもあります。
3. フェリチン値が低いときに見られる体調変化
フェリチン値が低くなると、体内で鉄をうまく使えず、貧血に似た症状を感じることがあります。ただし、ヘモグロビン値が正常であっても不調が現れるケースもあり、こうした状態は「隠れ鉄不足」と呼ばれることもあります。
よくある体調のサイン(例)
疲れやすい、倦怠感がある
めまいや立ちくらみ
気分が落ち込みやすい
頭痛や動悸
髪の抜けやすさが気になる
氷や海苔などを無性に食べたくなる(異食)
こうした変化が見られる場合、鉄の貯蔵量を確認する検査(血清フェリチン値)を受けることで、体の状態を把握しやすくなります。
4. フェリチン値が低下する背景

フェリチン値が低くなる背景には、以下のような要因が考えられます。
食事のバランス
鉄を含む食品の摂取不足、ダイエットや偏食傾向が影響することがあります。特に植物性食品中心の食生活では、吸収効率の違いから鉄不足に陥りやすいケースもあります。ライフステージや活動量
月経、妊娠、出産などの女性特有の要因や、アスリートなど激しい運動を日常的に行う人は、鉄の消費が多くなるため注意が必要です。疾患や体質
慢性炎症、自己免疫疾患、消化器系のトラブルなどが関与することもあり、医学的なサポートが必要な場合があります。
5. フェリチンを維持するための基本的な考え方
鉄の貯蔵量を保つためには、まずは正確な状態把握と原因の見極めが大切です。フェリチン値が低いからといって自己判断で鉄を多く摂取すると、過剰による別の不調を招くこともあります。
以下のような取り組みが、日常的な工夫として参考になります:
食事で鉄を多く含む食品(赤身肉、レバー、魚介、大豆製品、青菜など)を意識的に取り入れる
ビタミンCを含む食品と一緒に摂ると、吸収を助けるとされる
医療機関で血液検査を受け、必要に応じて医師と相談のうえ対処する
継続的な対策が必要な場合は、栄養補助食品(サプリメント)なども選択肢のひとつとなることがあります
※本記事は、健康に関する一般的な情報を提供するものであり、特定の商品の効果や医療的効能を示すものではありません。体調や数値に不安のある方は、医師や専門機関にご相談ください。