
鉄不足による体調変化と向き合うには?気づき方と日常でできる工夫
1. 貧血にはどんな種類があるの?
「貧血」と一口にいっても、その背景にはさまざまな種類があります。中でも多くみられるのが「鉄欠乏性貧血」と呼ばれるもので、鉄の摂取量や体内の蓄積量が不足していることが原因とされています。
鉄欠乏性貧血
鉄の不足によるもの。もっとも一般的。巨赤芽球性貧血
ビタミンB12や葉酸の不足が原因。溶血性貧血
赤血球が壊れやすくなることで発症。再生不良性貧血
骨髄での血液細胞の産生が低下。
※参考:MSDマニュアル家庭版
自分にどのタイプの貧血があるかを確認したい場合は、医療機関で検査をしてもらいましょう。
2. 鉄不足による変化と感じやすい体調のサイン

鉄が不足している状態が続くと、次のような体調の変化を感じることがあると言われています。
めまい・立ちくらみ
倦怠感・疲れやすさ
息切れ
頭痛
動悸
手足の冷え
のどの渇き
また、顔色が青白くなったり、まぶたの裏が白っぽく見えたりすることもあるとされています。髪が抜けやすくなる、氷や海苔など特定のものを無性に食べたくなる(異食)といった行動が見られるケースもあります。
※参考:MSDマニュアル、学術論文など
3. 気分が悪くなったときの応急的な対応方法
一時的にめまいや立ちくらみを感じたときは、以下のような姿勢を取って安静に過ごすことで、症状が落ち着く場合があります。
屋外などで横になれない場合
・その場にしゃがみこみ、姿勢を低くする
・締めつけの強いベルトや衣類をゆるめる
・ゆっくり深呼吸をして、落ち着くまで待つ室内で横になれる場合
・仰向けになり、足元にクッションなどを置く
・足を頭よりも15~30cm高くして休む(ショック体位)
※参考:マイナビ看護師「ショック体位の取り方」
4. 鉄不足の背景にある要因とは?
鉄分が不足する背景にはさまざまな要因があります。
女性の場合
月経による出血や妊娠・出産による鉄の需要増加男性の場合
胃腸の不調や消化管出血が背景にあることも
いずれも、血液検査などで原因を明らかにすることが重要とされています。とくに慢性的な体調不良が続く場合は、医師に相談することが望ましいです。
5. 鉄の補給と向き合い方の基本

鉄不足の改善には、栄養バランスを見直すことが基本とされます。
赤身の肉やレバー、魚介類などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」
大豆や小松菜などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」
吸収を助けるには、ビタミンCを一緒に摂ることが有効とされるケースもあります。食事だけで補いきれない場合には、栄養補助食品(サプリメント)や鉄剤などの活用が選択肢になることもありますが、使用する際は成分や分量に注意が必要です。
6. 日常でできる予防の工夫
鉄分の不足を防ぐには、次のような工夫が参考になります。
朝食に果物や鉄を含む穀類を取り入れる
煮物や炒め物に鉄を多く含む食材を加える
コーヒーや紅茶(タンニン)と鉄を一緒に摂らないようにする
また、妊娠期や成長期など、特に鉄が必要になる時期は、無理のない範囲で意識して摂取できるようにすることが大切です。
鉄不足は、日々の生活のなかで気づきにくい場合もありますが、体調の変化のひとつとして知っておくと安心です。違和感を感じたときは無理をせず、必要に応じて食事や生活習慣を見直すこともひとつの方法です。
本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の治療や診断、特定の製品の効果を示すものではありません。体調に不安のある場合は、医療機関にご相談ください。