妊娠中の鉄分不足に気をつけて!体と赤ちゃんのためにできること

1. 鉄分不足が妊娠中に起こりやすい理由



妊娠中の体は赤ちゃんの成長を支えるために大きく変化します。
中でも血液の量は妊娠前に比べて大きく増えるため、血液中の鉄分が相対的に薄まりやすくなります。これがいわゆる「妊娠に伴う生理的な貧血」と呼ばれる状態です。

また、赤ちゃんの成長には多くの鉄分が必要とされるため、妊婦さん自身の体に蓄えられている鉄が不足しやすくなります。
鉄は日常の食事からも摂取できますが、妊娠中は普段より多くの量が求められます。

2. 鉄分が不足するとどうなるの?



鉄は、酸素を全身に運ぶ役割を持つ「ヘモグロビン」を作るために欠かせない栄養素です。
そのため、鉄分が不足すると体が酸素を十分に運べなくなり、疲れやすさや息切れなどが出やすくなります。

また、妊娠中に鉄分が不足すると、赤ちゃんの健やかな成長に影響が出る可能性もあるとされています。
とくに、妊娠後期や出産時には鉄の需要が高まるため、事前のケアが大切です。

3. 妊娠中に必要な鉄分の量

厚生労働省が示す「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、妊娠中の女性が1日に必要とする鉄分の量は以下のように変化します。

年齢

妊娠初期(付加量)

妊娠中期~後期

授乳期(付加量)

15〜17歳

+0.0mg

+7.0mg

+0.0mg

18〜64歳

+0.0mg

+6.0mg

+0.0mg

※「+」は通常の推奨量に追加される量を意味します。

このように、妊娠中期以降は鉄の必要量がぐっと増えるため、意識して補っていくことが求められます。

4. 日常生活でできる鉄分対策



● 食事から鉄分を意識的に摂る

鉄分を多く含む食材をバランスよく取り入れましょう。たとえば以下のような食材が挙げられます:

【動物性食品(吸収率の高いヘム鉄)】
レバー、赤身肉、かつお、まぐろ など

【植物性食品(非ヘム鉄)】
大豆製品、小松菜、ひじき、干しぶどう など

ビタミンCを含む食品(オレンジ、いちご、ブロッコリーなど)と一緒に摂ると、植物性の鉄分の吸収を高める効果が期待されます。

● 食事だけで不安な場合は補助食品も検討を

つわりで食が細くなったり、偏りが出たりすることもあるかもしれません。そうしたときには、医師や助産師に相談の上、妊娠期でも使える補助食品やサプリメントを活用するのも一つの方法です。
用量や対象時期などを守りながら取り入れていきましょう。

妊娠中は鉄分の必要量が大きく変化する時期です。体調の変化が大きいため、無理のない範囲で日々の食事や生活習慣に鉄分ケアを取り入れてみてください。

心配なことがあれば、かかりつけの医師や助産師に相談することをおすすめします。
自分の体と赤ちゃんのために、できることから始めていきましょう。