
子どもの鉄分不足に注意!成長期に大切な鉄のはたらきと対策方法
1. 子どもの鉄分不足がもたらす影響

成長期の子どもにとって、鉄分はとても大切な栄養素です。鉄は、酸素を全身に運ぶ役割を持つヘモグロビンの材料であるほか、脳や神経の発達にも関係しています。
とくに乳児期から2歳ごろまでは、神経系が大きく発達する時期のため、鉄分の不足には注意が必要です。
また、小児期から思春期にかけての鉄分不足では、次のような影響が出ることがあります。
疲れやすい
イライラしやすい
集中力が続かない
発育が緩やかになる
気になる症状がある場合は、栄養バランスを見直すとともに、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
2. 鉄分が不足する主な原因
子どものライフステージに応じて、鉄分が不足しやすくなるタイミングがあります。主な原因をいくつか紹介します。
● 乳児期
妊娠中の母体から受け取る鉄の量が少なかったり、離乳食で鉄分が不足したりすると、乳児期に不足が起きやすくなります。特に生後6ヶ月〜9ヶ月以降は、体内の鉄の蓄えが減ってくるため、食事からの補給が重要になります。
● 幼児・学童期
牛乳をたくさん飲んでごはんをあまり食べないと、食事からの鉄分が不足しがちに。牛乳には鉄の吸収を妨げる成分が含まれていることもあり、「牛乳貧血」と呼ばれるケースも知られています。
● 思春期
急激な体の成長により、鉄の必要量が増える時期です。特に女の子は月経が始まることで鉄を失うことが増えるため、より多くの鉄が必要となります。食事制限やダイエットが原因で、摂取量が不足してしまうこともあります。
3. 年齢別の鉄分摂取の目安
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、子どもの鉄分の推奨摂取量は以下の通りです:
年齢 | 男性(mg/日) | 女性(mg/日) |
---|---|---|
6〜11か月 | 5.0 | 4.5 |
1〜2歳 | 4.5 | 4.5 |
3〜5歳 | 5.5 | 5.0 |
6〜7歳 | 6.5 | 6.5 |
8〜9歳 | 8.0 | 8.5 |
10〜11歳 | 10.0 | 10.0(月経あり:14.0) |
12〜14歳 | 11.5 | 10.0(月経あり:14.0) |
15〜17歳 | 9.5 | 8.5(月経あり:10.5) |
※実際の必要量は体格や活動量、月経の有無などによって異なります。
4. 鉄分を摂るための工夫とヒント

● 食事からの鉄分補給を意識する
鉄分を多く含む食品としては、以下のようなものがあります:
【動物性食品(ヘム鉄)】
赤身肉、レバー、あさり、かつお、まぐろ など
【植物性食品(非ヘム鉄)】
大豆製品、ほうれん草、小松菜、ひじき、干しえび など
動物性食品に含まれるヘム鉄は、植物性食品に含まれる非ヘム鉄よりも吸収されやすいとされています。特に成長期のお子さんには、動物性食品を取り入れることが効果的です。
また、ビタミンCやクエン酸を含む食品(いちご、みかん、レモン、梅干し など)と一緒に摂ると、鉄の吸収が高まると言われています。
● 離乳期にはフォローアップミルクも活用できる
鉄分の補給に不安がある場合は、医師と相談のうえでフォローアップミルクの使用を検討しても良いでしょう。特に、生後9ヶ月以降で食事量が少ない場合などに使われることがあります。
● 食が細い場合や偏食がある場合は工夫を
「鉄分が多い食材を食べてくれない」「食が細い」などの悩みがある場合は、料理に混ぜてわかりにくくする工夫や、子どもでも飲みやすいパウダー状の鉄分補助食品などを検討するのも一つの方法です。使用する際は、用量や対象年齢をよく確認するようにしましょう。
子どもの健やかな成長のために、鉄分はとても大切な栄養素です。まずは毎日の食事でバランスよく栄養を摂ることを心がけ、必要に応じて医療機関や専門家に相談してみましょう。年齢や生活習慣に応じた適切なケアをしてあげたいですね。

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